アマダ(6113) 2026年3月期 第2四半期(中間期)決算短信

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決算短信は読みにくい

決算短信は読みにくい。定型で構成が決まっていて、業績の表が横に並ぶので見にくい。経営状況の文章は「昨今の世界情勢により当社グループを取り巻く環境は…」から始まり、業績の数値で終わる定型文で冗長。その中に紛れる重要な部分を読み取るのが大変な手間だ。

AIで要約

そこで解決策としてChat GPTで決算短信を要約した。

「企業名 決算短信」で検索して、ダウンロード。PDFファイルを読み込ませる。「経営状況は?」と質問すると数秒で要約が作成される。非常に便利だ。

AIにネットから適当な情報を探索させると不正確な情報の場合がある。参照元自体が間違っている場合もある。しかし決算短信は虚偽の内容があると、発行会社は金融商品取引法、有価証券報告書虚偽記載罪で罰せられるため、正確性はある程度保証されている。そのため情報の正確性を疑う必要がない。決算短信の要約はAI向きの作業だ。

とてもわかりやすく、ポイントを要約してくれる。業績の前年同期比の表がわかりやすいし、短期借入金の増額の理由、投資キャッシュフローの増額の理由など、各勘定項目の数字だけを追っていると解読に時間がかかることの注記がつくのでうれしい。会社が決算短信と同時に発行することが多い決算説明資料より、わかりやすく簡潔だ。20歳で株式投資を始めて約20年間。何百、何千と読んで来た決算短信をもう読まなくてよくなった。もちろん数字を斜め読みするだけにはなっていたが、そろそろ老眼がでてくる歳なので文字を追うのが辛い。これで目の疲れをかなり軽減できる。革命的な進歩だ。

課題は決算短信のリンクから直接読み込めないので一度ダウンロードしてから読み込む必要があることだ。APIを使って、いろいろ設定すればできないことはないらしいが、筆者の現時点のスキルではすぐにできないので後回しにする。

以下は アマダ(6113)・2026年3月期 第2四半期(中間)決算 に基づく、数値根拠つきの「経営状況」まとめだ。
(すべて 決算短信PDF から直接数値取得済み 25q2_amada)


■ 1. 業績サマリー(前年比)

指標2026/3期 中間前年同期比
売上収益184,280 百万円▲0.1%
営業利益15,305 百万円▲33.9%
税引前利益15,420 百万円▲30.0%
親会社株主中間利益10,385 百万円▲31.3%
EPS(中間)32.50円前期45.45円

→ 減収微減、利益は大幅減(▲3割)

主因

  • 北米・国内で納期遅れ(据付遅延)
  • 欧州の市況悪化
  • 円高(前年同期比)
  • 販管費増

■ 2. セグメント別比較(売上・営業利益)

◆ 金属加工機械(板金+微細溶接)

  • 売上:139,701百万円(▲8.1%)
  • 営業利益:11,591百万円(▲39.2%)

● 板金部門(127,017百万円、▲7.2%)

  • 日本:▲7.6%
  • 北米:▲4.0%
  • 欧州:▲16.7%(最悪)
  • アジア:+5.7%

● 微細溶接(12,684百万円、▲15.7%)

  • EV関連の投資抑制が北米で続く
  • 中国はAI部品など堅調も補えず

◆ 金属工作機械(切削・研削盤+プレス)

  • 売上:40,836百万円(+27.8%)
  • 営業利益:4,082百万円(+12.6%)

内訳:

  • 切削・研削盤:20,967百万円(▲8.5%)
  • プレス:19,868百万円(+120.4%)

→ プレス部門の急増は「エイチアンドエフ」買収効果+北米のAI/データセンター設備投資が追い風


■ 3. 地域別売上

地域売上前年比
日本68,575百万円+0.8%
北米51,714百万円+0.1%
欧州34,070百万円▲14.4%
アジア他29,919百万円+19.5%

→ 欧州だけ大幅悪化。アジアは二桁成長で地域別トップの伸び。


■ 4. 財務状況(Balance Sheet)

指標2025/3末2025/9末増減
総資産649,891738,161+88,269
負債126,141211,457+85,315
資本523,750526,703+2,953
自己資本比率79.9%70.7%▲9.2pt

→ 2件の買収(H&F、ビアメカニクス)で総資産急増。
→ 借入金増で負債急増、自己資本比率が大きく低下。


■ 5. キャッシュフロー

CF区分金額備考
営業CF+21,674百万円前年より増加(債権回収進む)
投資CF▲26,305百万円H&F+ビアメカニクス買収
財務CF+31,328百万円買収資金調達(短期借入63,100百万円)

買収に伴い短期借入を大規模実行。


■ 6. 通期見通し(上方修正)

指標新予想前回比前年比
売上収益440,000百万円+35,000+10.9%
営業利益46,000百万円+1,000▲6.3%
親会社当期利益32,000百万円+1,000▲1.2%
EPS101.02円+4.52円

→ 買収子会社(ビアメカニクス)の上乗せにより売上を上方修正。
→ 利益は営業利益率低いM&A構造で伸びにくい。


■ 7. 簡潔な総括(定量根拠ベース)

  1. 売上は横ばい(▲0.1%)だが利益は▲3割超の大幅減
    → 営業利益率は 23,171 → 15,30512.6% → 8.3% に低下。
  2. 欧州・板金・微細溶接が大きく落ち込み、利益悪化の主因。
  3. 買収(H&F、ビアメカニクス)でプレス部門は+120%と急伸。
    → ただし買収で 借入金が 10,954 → 73,931百万円(流動) に急増。
  4. 自己資本比率は 79.9% → 70.7% に低下。
    → 財務レバレッジが大きく上昇。
  5. 通期業績は売上中心に上方修正だが、利益率は改善しにくい構造。

まとめ

決算短信での企業価値分析の時短に成功した。出典元が完全に特定できている情報の要約はAIは非常に得意だ。筆者の中では一番AI活用に成功した事例だ。sora2でショート動画作成するのは楽しいが、Tik Tokの劣化版のような感じで、現時点ではあまり役には立っていない。

次はChat GPTから直接Googleスプレッドシートのセルに数値を書き込めるようにしたい。APIやらいろいろ設定が必要で面倒。PCのローカル作業ならばpython、Excelと組み合わせてほぼ自動化はできそうだ。しかし、必要資料を検索してダウンロードが手間なので、作業時間はWeb上で手作業でスプレッドシートにコピー&ペーストした方が速い。まだまだ作業効率改善の道半ばだ。