JT株購入検討

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円建ての高配当資産がほしい

2025年3月現在の政策金利(=無担保コール翌日物)の誘導目標は0.5%、今年中に1.0%前後まで利上げが予想される。円建て資産は、国内金利が上昇することで相対的に魅力的となる。またアメリカの政策金利(=フェデラル・ファンド金利)は現在4.5%前後にFRBによって誘導されているが、物価指数・失業率を考慮しつつ段階的に利下げされる局面だ。現在の150円/ドル前後から2021年以前の110円/ドル前後まで戻る可能性もあるためダメージのコントロールとして、円建て資産へシフトしたい。こうした理由から、円建てでの高利回りの資産がほしい。

JT株投資の目的

JTへの投資の目的は、安定した配当収益を狙うことである。JTは長年にわたり安定した配当を提供しており、直近の配当利回りは5%前後で魅力的な選択肢である。さらに、国内外のたばこ市場において強力なブランドと市場シェアを持っているため、過去10年以上に渡り売上高営業利益率は20%以上だ。たばこ専売の利権により安定した収益はやはりすごい。

JTの概要

正式名称は2025年現在も日本たばこ産業株式会社。通称JT。日本電信電話(NTT)と同様のパターンだ。

1985年に日本専売公社が民営化されて設立。しかし未だに財務大臣が33.3%株式保有。国内外のたばこ市場において強力な地位を維持。たばこ以外は食品事業等。積極的に海外たばこブランドをM&Aしてきた。

会社四季報にて、連結事業を確認する。90%以上がたばこ事業。営業利益率29%で圧倒的な収益の柱だ。海外売上割合76%でM&Aで海外のたばこブランドも多く保有している。

たばこ91(29)、医薬3(18)、加工食品5(4)、他0(-1093)【海外】76 <23・12>

売上高、営業利益、純利益の推移

2024年12月期の年間の売上高は3.1兆円。世界各国で喫煙率自体は下がる中、M&Aの効果で売上は増大。加熱式たばこが若者中心に伸びている。特筆すべきは営業利益率が20%以上と高く、何年も安定していること。

事業価値の算出(=税引き後純利益予測)

税引き後純利益は直近2年と会社四季報予想の2025年12月期を平均して4663億円。ディスカウントキャッシュフロー法(割引率6%の無限等比級数和、4663億円/0.06)で計算し、事業価値の価値は7.7兆円と算出。利益率が安定しているためそこそこ正確に計算できる。やっていることは1年後の利益予測であるため直近赤字の企業の場合はバラツキが大きくなりがちで予想がかなり難しい。

資産価値(ネットキャッシュ)

(流動資産+投資有価証券x0.7) - 負債 = ネットキャッシュ(正味現金保有量)

すぐに現金化できる資産から負債を除した値。工場や簿価と時価の乖離が大きい土地、不動産は無視した値。人間でいうところのすぐに売却できない家や車等の資産ではなく、財布の中の現金といったイメージだ。JTはマイナスの5500億円。製造業なので工場・土地が多く、運転資金の銀行融資もそれなりに必要なのでネットキャッシュがマイナスでも経営的に問題があるわけではない。

割安感はなし

事業価値+ネットキャッシュは7.2兆円。3月4日終値での時価総額は7.5兆円。時価総額の方が計算した会社価値より4%高いため割安ではない。株式市場に妥当に評価されているともいえる。こんなに計算値と時価総額が近い値になることはめったにない。。直近検討した50社の中ではソニーとJTだけだ。業績が非常に安定している大企業でないと計算と近くならない。JT株は業績予測を大きく外れることなく推移するならば、今後数年、株価上昇でのキャピタルゲインはあまり期待できない。

配当利率

現在株価約3800円での配当利率は5.1%、直近2年の株価水準2700円~4500円で計算すると4.3%~7.2%くらい。平均5%代の配当利回りが期待できる。米国債ETFのAGGが直近1年利回り2.7%なので為替リスク、個別株リスク考慮しても投資候補として悪くないと筆者は考える。

その他リスク要因

世界各国での健康被害訴訟の和解金の動向。2025年3月3日最大額訴訟額のカナダでの和解が成立。4000億円の損失引当金を計上する。1年分の利益がほぼ吹き飛ぶ規模だが、1株配当額は維持することが明示されたため株価は下落しなかった。(筆者はこのタイミングで株価急落で割安で購入を目論んでいたが外れた)

結論

以上、検討してきた結果、現在JT株は市場に妥当な価格評価を受けているため、キャピタルゲインはあまり期待できず、割安ではないことがわかった。

しかしながら、5%前後の配当利率は今後も期待できるため、円高リスクを回避するために保有する資産としては有効な投資先の一つである。

購入タイミングとしては今は少しだけ割高と感じるので、筆者は計算した理論株価3600円での購入を目指してウォッチングを続けることにした。