2026年1月14日に発表されたクリエイトSDホールディングスの2026年5月期第2四半期(中間期)決算は、増収増益の堅調な内容であった。ドラッグストア業界は競争激化や物価高騰による消費マインドの冷え込みなど厳しい環境下にあるが、同社はEDLP(エブリデイ・ロープライス)施策の徹底や調剤部門の強化、さらにM&Aによる規模拡大を着実に進めている。
本稿では、最新の決算数値と独自算出したバリュエーションに基づき、同社の投資妙味について検証する。
2026年5月期第2四半期 決算ハイライト
中間期の業績は、売上高2,419億2,600万円(前年同期比7.6%増)、営業利益111億600万円(同6.2%増)、経常利益116億9,100万円(同8.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益78億8,500万円(同12.3%増)となり、すべての項目で前年実績を上回った。
セグメント別・部門別の好調要因
増収の主因は、物販部門におけるEDLP施策の継続推進と調剤部門の伸長である。
商品部門別の売上実績を見ると、食品が1,050億6,200万円(前年同期比10.0%増)と大きく伸びており、生活防衛意識の高まりを捉えていることがわかる。また、調剤薬局部門も315億1,300万円(同15.9%増)と二桁成長を記録した。これは店舗数の増加に加え、近隣医療機関との連携強化や各種加算の算定強化が奏功し、処方箋応需枚数および単価が堅調に推移したためである。
特筆すべきは、M&Aによる事業基盤の拡大である。2025年8月に調剤専門薬局9店舗を展開する株式会社サンエフを、同年10月には栃木県でスーパーマーケット8店舗を展開する株式会社八百半ホールディングスを連結子会社化した。これにより、同社グループにとって未進出エリアであった栃木県への進出を果たし、新たな商圏を獲得している。
財務健全性とキャッシュフロー
財政状態も極めて健全である。総資産は2,451億100万円となり、前期末比で85億4,000万円増加した。自己資本比率は60.3%と、前期末と同水準の高い安全性を維持している。
キャッシュフローに関しては、営業活動によるキャッシュフローが108億1,800万円のプラスを確保している。一方で、投資活動によるキャッシュフローは102億2,000万円のマイナスとなった。これは主に出店に伴う有形固定資産の取得(67億3,300万円)によるものであり、将来の成長に向けた投資を積極的かつ継続的に行っている証左である。
手元の現金及び現金同等物の残高は359億200万円あり、流動負債合計866億3,200万円に対して十分な流動性を確保しつつ、成長投資と株主還元のバランスを保っているといえる。
バリュエーション分析
現在の株価水準と、将来の利益予想に基づいた理論株価を算出した。算出にあたっては、2025年5月期から2027年5月期(予想)までの平均純利益を割引率6.0%で割り引いた事業価値に、ネットキャッシュ(流動資産から負債を控除した保守的な数値)を加算する方法を採用している。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 会社名 | クリエイトSD (3148) |
| 前日株価 | 3,325円 |
| 平均予想純利益 | 164.95億円 |
| 割引率 | 6.0% |
| 事業価値 | 2,749億円 |
| ネットキャッシュ(※) | 143億円 |
| 理論上の企業価値 (A) | 2,892億円 |
| 発行済株式数 | 66,819,342株 |
| 時価総額 (B) | 2,222億円 |
| 乖離率 (A/B) | 1.30倍 |
| 理論株価 | 4,328円 |
| 予想平均PER | 13.5倍 |
| 配当利回り | 2.7% |
割安性の根拠
上記試算によると、事業価値と資産価値を合計した理論上の企業価値は2,892億円となる。これに対し、現在の時価総額は2,222億円に留まっており、理論株価4,328円に対して約30%のアップサイド(上昇余地)が見込まれる。
PER(株価収益率)は約13.5倍と、成長性を考慮すれば過熱感はない。また、配当利回りは2.7%あり、インカムゲイン狙いの投資家にとっても一定の魅力がある水準である。特筆すべきは営業利益率の安定性である。過去数年の推移を見ても、2023年5月期の5.0%から2027年5月期予想の4.9%まで、ほぼ5%近辺で安定して推移している。この収益性の安定感が、将来キャッシュフローの予測確度を高め、バリュエーションの信頼性を裏付けている。
今後の見通しとリスク要因
通期の業績予想については、売上高4,915億円(前期比7.5%増)、営業利益241億円(同6.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益163億円(同3.9%増)とする期初予想を据え置いている。進捗率は売上高で49.2%、営業利益で46.1%であるが、ドラッグストア業界は年末商圏や花粉症シーズンを含む下期に偏重する傾向があるため、達成は十分射程圏内である。
成長戦略の方向性
同社は2030年5月期を最終年度とする長期経営計画「NextSTAGE2030」のもと、自力出店とM&Aの両輪で成長を目指している。今回の子会社化に見られるように、食品スーパーとの一体化や調剤専門薬局の取り込みは、既存のドラッグストア事業とのシナジーを生み出しやすい。特に食品強化は集客力を高め、ついで買いを誘発する効果が期待できる。
懸念されるリスク
一方でリスク要因としては、大手競合他社による価格競争の激化や、調剤報酬改定による収益圧迫が挙げられる。しかし、同社はEDLPによる低価格イメージの定着と、ドミナント戦略(特定地域への集中出店)による物流・販促効率の良さを強みとしており、他社と比較しても競争優位性を保ちやすい構造にある。
結論
クリエイトSDホールディングスは、堅実な財務基盤と安定した収益力を持ちながら、現在の株価水準は理論価値と比較して割安に放置されていると判断できる。食品強化と調剤併設による既存店強化、そして規律あるM&Aによるエリア拡大が機能しており、中長期的な視点での投資対象として魅力的である。
直近の株価3,325円は、理論株価4,328円に向けて水準訂正が起こる余地があり、配当を受け取りながらじっくりと値上がりを待つ戦略が有効であろう。


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